○各務原市救急隊規程
平成6年3月24日
消防本部訓令第2号
各務原市救急隊規程(昭和47年消防本部訓令第1号)の全部を改正する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、各務原市消防本部が行う救急業務について必要な事項を定め、救急業務の能率的運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第2条第9項及び消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)第42条に規定する救急業務をいう。
(2) 救急事故 救急業務の対象である事故及び疾病をいう。
(3) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所をいう。
(4) 救急自動車 救急業務を行う自動車をいう。
(5) 高規格救急自動車 救急隊員及び准救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号。以下「応急処置等の基準」という。)第6条第3項に規定する応急処置を行うために必要な構造及び設備を有する救急自動車をいう。
(6) 救急救命士 救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士をいう。
第2章 救急隊等
(救急隊の設置)
第3条 救急業務を行うため、本市に救急隊を置く。
2 救急隊の名称、所属及び隊数は、次のとおりとする。
名称 | 所属 | 隊数 |
各務原西部方面消防救急隊 | 各務原西部方面消防署 | 4隊 |
各務原東部方面消防救急隊 | 各務原東部方面消防署 | 3隊 |
(救急隊員の資格)
第4条 救急隊員は、救急救命士の資格を有する隊員又は令第44条第5項に規定する隊員のいずれかに該当する者とする。
(救急隊長)
第5条 救急隊員のうち1人は、救急隊長とする。
2 救急隊長は、上司の命を受け、救急隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うよう努めなければならない。
(救急隊員の訓練)
第6条 消防長は、救急隊員に対し、救急業務を行うに必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うように努めるものとする。
(救急隊員の服装)
第7条 救急隊員は、救急業務を実施する場合は、救急服又は白衣を着用するものとする。ただし、救急業務に支障がある場合は、この限りでない。
第3章 救急自動車
(救急自動車の要件)
第8条 救急自動車は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第49条に規定する緊急自動車の基準に適合し、かつ、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 救急隊員3人以上及び傷病者2人以上を収容し、かつ、第10条の救急資器材を積載できるものであること。
(2) 四輪自動車であること。
(3) 傷病者を収容する部分の大きさは、次のとおりであること。
ア 長さ1.9メートル以上で幅0.5メートル以上のベッド1台以上及び担架2台以上を収納し、かつ、救急隊員が業務を行うことができる容積を有するものであること。
イ 室内の高さは、救急隊員が業務を行うに支障のないものであること。
(4) 十分な緩衝装置を有するものであること。
(5) 適当な防音、換気及び保温のための装置を有するものであること。
(6) その他救急業務を実施するために必要な構造及び設備を有するものであること。
(救急自動車の標示)
第9条 救急自動車の側面には、消防本部名を標示するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第10条 救急自動車には、応急処置、通信等に必要な資器材で別表第1に掲げるものを備えるものとする。
第4章 救急活動
(救急活動の原則)
第11条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適応医療機関に搬送することを原則とする。
(救急隊の出動)
第12条 消防長又は消防署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
2 救急隊の出動区域は、別に定めるものとする。
(口頭指導)
第12条の2 消防長は、救急要請時に、指令室又は現場出場途上の救急自動車等から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(転院搬送)
第12条の3 医療機関に収容されている傷病者を高度又は専門的な治療のため緊急に他の医療機関に搬送する場合(以下「転院搬送」という。)は、現に傷病者を収容している医療機関の医師から転院搬送依頼書(様式第1号)により要請があったときに行うものとする。
2 転院搬送は、当該医療機関の医師、看護師又は准看護師を救急自動車に同乗させて行うものとする。ただし、同乗できない場合は、当該医療機関に対し、患者、家族等にその旨を説明し、了承を得るよう求めるものとする。
(観察及び応急処置)
第13条 傷病者の観察及び応急処置については、応急処置等の基準に基づき実施しなければならない。
2 傷病者が複数の場合は、症状が重いと認められる者を優先するものとする。
(搬送を拒否した者の取扱い)
第14条 救急隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒否した場合は、これを搬送しないものとする。
(医師の派遣要請)
第15条 救急隊員は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師の派遣を要請し、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救助に当たり医師を必要とする場合
2 災害通報の受信時にその内容から消防長又は消防署長が前項各号のいずれかに該当すると判断した場合
(死亡者の取扱い)
第16条 救急隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
(関係者の同乗)
第17条 救急隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めてこれに応ずるものとする。
(警察との連絡)
第18条 救急隊員は、傷病の原因に犯罪の疑いがあると認めたときは、速やかにこの旨を警察官に連絡するとともに、現場の保存及び証拠の保全に努めなければならない。
(災害救助法における救助との関係)
第19条 救急業務は、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用される場合においては、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。
(感染症と疑われる者の取扱い)
第20条 救急隊員は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、指定感染症又は新感染症の疑いのある傷病者を搬送した場合は、救急隊員及び救急自動車等について直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防署長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認するものとする。
(感染性廃棄物の処理)
第20条の2 消防長は、別に定めるところにより、救急業務により生じた廃棄物のうち、感染性を有する病原体が含まれ、若しくは付着しているもの又はこれらの恐れがあるものについて、適正な管理及び処理を行わなければならない。
(要保護者等の取扱い)
第21条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第1項又は第2項に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条第4項に規定する保護の実施機関に通知するものとする。
(活動の記録)
第22条 救急隊員は、救急活動を行った場合においては、救急活動記録票(様式第4号)に所要の事項を記録し消防署長に報告するものとする。
2 救急隊員は、傷病者を搬送して医療機関に引き渡した場合は、病院前救護記録(岐阜県メディカルコントロール協議会(以下「県MC協議会」という。)の定める病院前救護記録をいう。)を医師に交付し、当該事実を確認する医師の署名又は押印を受けるとともに、傷病名、傷病程度等について、当該医師の所見を聴して搬送確認証(県MC協議会の定める搬送確認証をいう。)に記録しておくものとする。
3 救急隊員は、応急処置等を行うに際し、医師の指示等があった場合には、当該医師の氏名及びその指示等の内容を救急活動記録票に記録しておくものとする。
4 救急救命士である救急隊員が救急救命士法第2条第1項に規定する救急救命処置を行った場合は、同法第46条第1項に規定する救急救命処置録として救急活動記録票(県MC協議会の定める救急活動記録票をいう。)に所要の事項を記録しておくものとする。
5 救急隊員は、必要に応じて、検証医による事後検証を受けるとともに、検証票(県MC協議会の定める検証票をいう。)に記録しておくものとする。
6 前項の検証を行うため、消防署に救急技術指導者を置くものとする。
(家族等への連絡)
第23条 救急隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その者の家族等に対し傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。
第5章 医療機関等
(医療機関との連絡)
第24条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡をとるものとする。
(団体等との連絡)
第25条 消防長は、当該区域内で救急に関する事務を行っている団体等と救急業務の実施について情報を交換し、緊密な連絡をとるものとする。
第6章 救急自動車の取扱い
(消毒)
第26条 消防長は、次の各号に定めるところにより救急自動車及び積載品等の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 特別消毒 随時
2 消防長は、前項の消毒を効果的に行うための消毒用資器材を消防署に備えるものとする。
(救急自動車の整備及び点検)
第28条 消防長は、自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)に定めるところにより、救急自動車の整備を行うものとする。
2 救急隊員は、救急自動車の始業点検及び積載器具の点検を、別に定める様式により毎日点呼終了時において実施して点検結果を消防署長に報告するものとする。
第7章 救急業務計画等
(救急救護活動計画)
第29条 特殊な救急事故が発生した場合における救急業務については、別に定める計画に基づき実施する。
2 消防長は、前項に規定する計画に基づく訓練を毎年1回以上行うよう努めるものとする。
(救急調査等)
第30条 消防長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次に掲げる事項について調査等を行うものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 救急事故が発生するおそれのある対象物の位置及び構造
(3) 医療機関の位置その他必要な事項
(4) その他消防長が必要と認める事項
第8章 応急手当の普及啓発
(住民に対する普及啓発)
第31条 消防長は、別に定めるところにより、住民に対する応急手当の普及啓発を実施するものとする。
第9章 患者等の搬送事業
(患者等の搬送事業者に対する指導)
第32条 消防長は、別に定めるところにより、患者等を搬送する事業を行う者に指導及び認定を行うものとする。
第10章 県との連絡調整
(県との連絡調整)
第33条 岐阜県が保有する回転翼航空機により救急業務を実施する場合は、消防長は、救急業務の円滑な遂行のため、岐阜県と必要な調整を図るものとする。
第11章 雑則
(その他)
第35条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が定める。
附則
この訓令は、平成6年4月1日から施行する。
附則(平成12年消本訓令第1号)
この訓令は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成19年消本訓令第1号)
この訓令は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成20年消本訓令第1号)
この訓令は、平成20年4月1日から施行する。
附則(平成22年消本訓令第1号)
この訓令は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成25年消本訓令第1号)
この訓令は、平成25年3月1日から施行する。
附則(平成27年消本訓令第1号)
この訓令は、平成27年1月1日から施行する。
附則(平成30年消本訓令第1号)
この訓令は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和3年消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
別表第1(第10条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 血中酸素飽和度測定器 検眼ライト 心電計 体温計 聴診器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 気道確保用資器材 吸引器一式 喉頭鏡 酸素吸入器一式 自動式人工呼吸器一式 自動体外式除細動器 手動式人工呼吸器一式 マギール鉗子 |
創傷等保護用資器材 | 固定用資器材 創傷保護用資器材 |
保温・搬送用資器材 | 雨おおい スクープストレッチャー 担架 バックボード 保温用毛布 |
感染防止・消毒用資器材 | 感染防止用資器材 消毒用資器材 |
通信用資器材 | 無線装置 |
その他の資器材 | 懐中電灯 救急バッグ トリアージタッグ 膿盆 はさみ ピンセット 分娩用資器材 冷却用資器材 |
備考
1 気道確保用資器材は、経鼻エアウェイ及び経口エアウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。
2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。
3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。
4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共用できるものとする。
5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものが望ましく、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。
7 固定用資器材は、副子及び頸椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。
8 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。
9 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N―95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。
10 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各種消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。
11 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。
12 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。
別表第2(第10条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血糖値測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 呼気二酸化炭素測定器具 特定行為用資器材 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡 |
通信用資器材 | 携帯電話 情報通信端末 |
救出用資器材 | 救命綱 救命浮環 万能斧 |
その他の資器材 | 汚物入 在宅療法継続用資器材 洗眼器 リングカッター |
その他必要と認められる資器材 |
備考
1 特定行為用資器材は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条に規定する救急救命処置に必要な資器材とし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
2 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡は、チューブ誘導機能を有するものとし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
3 情報通信端末は、傷病者情報の共有、緊急度判定の支援等、救急業務の円滑化に資するための機能を有する資器材とする。
4 在宅療法継続用資器材は、医療機関に搬送するまでの間において、在宅療法を継続するために必要な資器材とする。