○各務原市の良好な環境の保全及び創出に関する基本条例
平成22年3月25日
条例第9号
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 基本方針等(第9条―第13条)
第3章 総合的調整及び基本的施策(第14条―第31条)
第4章 雑則(第32条)
附則
私たちのまち各務原市は、北部に美濃山地の美しい山並み、南部に名勝木曽川、東部にホタルが飛び交う大安寺川、西部に桜並木の名所新境川が流れ、中央部には各務原台地が広がり、雄大な水と緑に囲まれた豊かな自然を形成している都市である。また、先人たちのたゆまぬ努力に加え、交通の利便性に恵まれている地理的優位性なども相まって、順調に発展してきた。
一方、私たちは日常生活や事業活動において、物質的な豊かさや便利さを追求するあまり、大量の資源やエネルギーを消費し、環境への負荷を著しく増大させてきた。その影響は地域環境のみならず地球環境、人類を含むすべての生物の存続基盤に及んでいる。
私たちは、資源に限りがあることを受け入れ、これまでの社会経済活動や生活様式を見直し、持続的発展が可能な社会の構築に向けた取組みを行い、恵まれた環境を将来の世代に引き継いでいかなければならない役割を担っている。
ここに、私たちは、市、市民、事業者等がそれぞれの役割の下に、自主的かつ積極的にその責任を果たし、相互に協働することにより、清浄な空気、清らかな水、豊かな緑に恵まれた美しく住みよい都市各務原の実現と、環境への負荷が少ない持続的発展が可能な社会を構築するとともに地球環境の保全に貢献していくことを明らかにしていくため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創出(以下「環境の保全等」という。)について、基本理念を定め、並びに市、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策及び活動の基本となる事項を定めることにより、これらを総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的かつ快適な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因になるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で安全、安心かつ文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害等 事業活動その他人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭その他の環境の保全上の支障によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある生物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全等は、市民が健康で安全、安心かつ文化的な生活を営むことの出来る良好な環境を確保し、及び向上させ、現在及び将来の世代が享受するとともに、将来にわたって維持及び継承されるように適切に行われなければならない。
2 環境の保全等は、自らの行動又は事業活動を環境面から見直し、すべての人々の協働によって、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会が構築されるよう行われなければならない。
3 環境の保全等は、地域の環境が地球環境に深く関わっていることを認識し、すべての日常生活及び事業活動において、自主的かつ積極的に推進されなければならない。
4 環境の保全等は、水と緑、歴史及び伝統等、地域の自然的、地理的及び文化的特色のある美しい景観の形成を図るとともに、生物の多様性が確保され、人と自然との共生が実現され、快適な地域環境を保全し、発展するように行わなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、自ら事業活動を実施するに当たっては、環境への影響を配慮し、環境への負荷の低減に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全等に主体的に取り組み、自らの生活行動が環境を損なうことのないよう努めるとともに、市が実施する環境施策に積極的に参画し協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、良好な環境を損なうことのないように、自らの責任において、環境汚染を防止し、及び廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、原材料、製品等が廃棄物等になることを抑制するとともに、再生資源その他環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
3 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全等のための活動に自主的かつ積極的に努めるとともに、市が実施する環境施策に積極的に協力しなければならない。
(民間団体の責務)
第7条 民間団体(市民及び事業者の組織する民間の団体をいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、その活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 民間団体は、基本理念にのっとり、環境の保全等のための活動に自主的かつ積極的に努めるとともに、市が実施する環境施策に積極的に協力するように努めなければならない。
(滞在者の責務)
第8条 市内に滞在する者(市内を通過する者を含む。)は、その滞在に伴う環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に協力するように努めなければならない。
第2章 基本方針等
(施策の基本方針)
第9条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全されるように公害等を防止し、大気、水、土壌等を良好な状態に保持すること。
(2) 生き物の生息及び生育に配慮すること等により、健全な生態系を確保するとともに、森林、河川、農地等を適正に保全し、人と自然の共生を図ること。
(3) 水と緑に親しむことができる都市空間の形成、地域の特性を生かした都市景観の形成並びに歴史文化遺産の保存及び活用により、快適な都市環境を創出すること。
(4) 廃棄物の発生抑制、減量化、資源化及び適正な処理、資源の循環的な利用並びに環境への負荷の少ないエネルギーの有効利用、地球環境の保全を推進すること。
(5) 市、市民、事業者及び民間団体が環境の保全に関し協働して取り組むことができる社会を形成すること。
2 市は、前項に掲げる施策を実施するに当たっては、都市構造、経済活動及び市民の生活行動様式の変革等を含めた総合的対策を考慮するとともに、適切な市民参加の方策を講ずるよう努めるものとする。
(環境月間)
第10条 市民及び事業者の間に広く環境の保全等についての関心及び理解を深めるとともに、積極的に環境の保全等に関する活動を行う意欲を高めるため、環境月間を設ける。
2 環境月間は、6月とする。
3 市は、環境月間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。
(環境基本計画)
第11条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境行政の基本指針となる各務原市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画には、環境の保全等に関する長期的な目標、施策の方向その他の重要事項を定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民、事業者及び民間団体(以下「市民等」という。)の意見を聴取し、これを環境基本計画に反映することができるように必要な措置を講じなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画を変更する場合に準用する。
(環境基本計画との整合)
第12条 市は、自らの施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るように努めなければならない。
(環境の状況等の公表)
第13条 市長は、環境基本計画を推進するため、毎年度、市の環境の状況、環境の保全等に関して講じた施策の実施状況等を公表しなければならない。
第3章 総合的調整及び基本的施策
(総合的調整)
第14条 市は、環境行政の実効的かつ体系的な推進を図るため、この章に定めるところに従い、次に掲げる事項について必要な総合的調整を行う。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 環境施策に関すること。
(3) その他環境行政の総合的推進に関すること。
(自然環境の確保)
第15条 市は、生物の多様性の確保に配慮しつつ、良好な自然環境を確保するため、緑地及び水環境の保全及び形成に必要な措置を講ずるものとする。
(都市景観の形成)
第16条 市は、地域の特性を生かした快適な都市環境を確保するため、良好な景観の形成並びに歴史文化遺産の保存及び活用に関し必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境の保全の推進)
第17条 市は、地球環境の保全に資する施策を積極的に推進するものとする。
2 市民等は、その日常生活及び事業活動が地球環境の保全と密接に関係することにかんがみ、市と協働して地域における地球環境の保全のための活動に取り組むよう努めなければならない。
(新エネルギーの活用)
第18条 市は、環境への負荷の低減を図るため、新エネルギーの活用に努めるとともに、市民等による新エネルギーの活用が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(地下水の涵養)
第19条 市は、健全な水循環を維持するため、地下水の涵養機能が重要であることを認識のもと、地下水の保全に関し必要な措置を講ずるものとする。
(環境影響評価の推進)
第20条 土地の形状の変更、工作物の新設その他の環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者は、その事業を実施するに当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について、自ら適正に調査、予測又は評価(以下「環境影響評価」という。)を行い、その事業に係る環境の保全について適正に配慮するものとする。
2 市は、環境影響評価を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(規制の措置)
第21条 市は、環境の保全等を図るため必要があると認めるときは、規制の措置を講ずるものとする。
(調査及び研究)
第22条 市は、環境の状況等の把握、環境の変化の予測その他環境の保全等に関する施策の策定及び実施に必要な事項の調査及び研究に努めるものとする。
(監視体制の整備等)
第23条 市は、環境の状況等の把握に必要な監視、測定及び検査の体制の整備に努めるものとする。
(資源の循環的利用等に係る措置)
第24条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の発生の抑制等を積極的に推進するものとする。
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第25条 市は、環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(環境教育及び学習の推進等)
第26条 市は、市民等が環境の保全等について理解を深め、自発的な活動を行うことができるように、環境に関する教育及び学習の推進その他必要な措置を講ずるものとする。
(情報の収集及び提供)
第27条 市は、環境の保全等に関する情報の収集及び提供に努めるものとする。
(市民等との協働)
第28条 市は、環境の保全等に関する施策を推進するに当たり、市民等と協働して、これを推進していくものとする。
2 市は、市民等が、自発的に行う環境活動を促進するための必要な措置を講ずるものとする。
(国、県及び他の地方公共団体等との協力)
第29条 市は、環境の保全等のための広域的な取組みが必要とされる施策については、国、県及び他の地方公共団体等と協力して推進するものとする。
(施策の推進体制)
第30条 市は、環境の保全等に関する施策を総合的に調整し、市民等とともに推進するための体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第31条 市は、環境の保全等に関する施策を推進するために、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第4章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成23年条例第21号)
この条例は、公布の日から施行する。