○各務原市男女が輝く都市づくり条例
平成17年3月31日
条例第4号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策等(第10条―第19条)
第3章 男女が輝く都市づくり審議会(第20条―第24条)
第4章 雑則(第25条)
附則
木曽川の恵みと美濃山地の美しい山並みにはぐくまれてきた私たちの都市、各務原市。
ここに生きるすべての市民が、安心していきいきと輝きながら暮らして行くためには、互いがその人権を尊重しあい、責任をわかちあい、あらゆる分野の活動に参画し、性別にかかわりなく、男女が共に個性と能力を発揮できる都市が実現されなければならない。
しかしながら、今なお性別で役割を固定的に捉える意識やそれに基づく慣習、社会通念などにより、男女の自由な活動や生き方の選択を妨げたり人権侵害を生む原因となっているなど、まだまだ多くの課題が残されている。
一方21世紀新時代、急速に進む少子高齢化社会や社会環境の急激な変化は、家族形態や、地域社会にも影響を与えており、社会の基礎である家族とそれを取り巻く地域社会とのつながりがますます重要となっている。
ここに、各務原市は、市、市民、事業者が協働し、人々の家庭を愛する心と地域社会の人々の理解と総意により、男女が対等な個人として輝きながら、豊かで活力と優しさにあふれた男女が共に輝く都市の実現を目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女が共に輝く都市づくりを推進するため、その基本理念及び実現すべき姿等を定め、市、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本的事項を定めることにより、市民一人ひとりが輝きながら、豊かで活力と優しさにあふれた各務原市の実現を目指すことを目的とする。
(1) 男女が共に輝く都市づくり 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担う都市づくりをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会について、男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 市内における公的機関又は事業を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の心身に不快感、苦痛を与え相手の生活環境を害すること、又はその相手に不利益を与えることをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又はかつて配偶者関係にあった者に対する身体的、性的又は精神的、経済的苦痛を与える暴力的行為並びにその行為から生ずる子への暴力的行為をいう。
(6) 協働 市、市民及び事業者が、共通の目的を達成するために、継続的で対等な協力関係を形成し、それぞれが単独で行うよりもよい効果をあげるように、能力、情報等を提供し協力し合うことをいう。
(基本理念)
第3条 男女が共に輝く都市づくりは、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 男女が、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人の個性及び能力を発揮する機会が確保され、人権が尊重されること。
(2) 男女が、性別による固定的な役割分担を前提とした社会の様々な制度や慣行によってその活動が制限されることなく、自立した個人として自らの意思において多様な生き方を選択することができ、かつ、選択された生き方を互いに尊重し協力し合うこと。
(3) 社会のあらゆる分野に男女が共に参画できるよう、市、市民及び事業者が、自らの意思と相互の協力により、協働して取り組み、その活動の自由な選択を妨げることのないよう配慮されること。
(4) 男女が、性別にかかわらず、家庭、職場、地域、学校その他社会のあらゆる意思決定の場に、対等な構成員として平等に参画する機会が確保されること。
(5) 家族を構成する者が、人々の家庭を愛する心と相互の協力並びに社会の支援のもとに、愛情豊かな子育て、家族の介護等の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を果たし、かつ、その他の社会生活における活動を円滑に行うことができること。
(6) 男女が、人格を尊重し合い、互いの性への理解を深めることにより、妊娠、出産その他の健康について、自らの意思が尊重され、生涯にわたる心身の健康が維持されること。
(実現すべき姿)
第4条 市、市民及び事業者は、男女が共に輝く都市づくりの推進にあたり、第3条に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、次の事項を男女が共に輝く都市の実現すべき姿として、その達成に努めるものとする。
(1) 家庭においては、家族一人ひとりが互いの個性を尊重しあい、多様な生き方を選択することができ、家事、育児、介護を互いに協力しあい、家族それぞれが従来の性別役割分担意識にとらわれることなく生き方を選択できること。
(2) 職場においては、個人の意欲、能力、個性等が適切に評価され、募集、採用、配置、賃金、昇進等に性別を理由とする格差がなく、育児休業や介護休暇が男女等しく取得することができ、共にゆとりをもって仕事及び家庭生活並びに地域活動が両立できること。
(3) 地域においては、固定的な性別役割分担意識やそれに伴う慣習や社会通念にとらわれず、差別なく諸活動に参画し、企画や意思決定の場にかかわることができること。
(4) 学校をはじめとするあらゆる教育や保育の場においては、人権が尊重され、性別にとらわれることなく個性や能力が尊重される教育、指導及び保育を行うこと。
(5) その他あらゆる場においては、固定的な性別役割分担意識にとらわれず、男女が協働する社会が推進されること。
(市の責務)
第5条 市は、基本理念に基づき、男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策を実施するにあたり、国、他の地方公共団体、市民及び事業者と連携するよう努めなければならない。
3 市は、自らが率先して男女が共に輝く都市づくりを推進するとともに、市内事業者のモデルとなるよう努めなければならない。
(市民の責務).
第6条 市民は、基本理念に基づき男女が協働する社会の実現についての理解を深め、家庭、職場、地域、学校その他の社会のあらゆる分野において、男女が共に輝く都市づくりの推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、その事業活動を行うにあたって、基本理念に基づき、男女が共に輝く都市づくりの推進を阻害する要因の解消に努めなければならない。
2 事業者は、男女の平等な参画の機会の確保、育児、介護等の家庭生活と職業生活が両立できるよう環境の整備に努めなければならない。
3 事業者は、市の実施する男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策に協力し、男女が共に輝く都市と社会の実現に努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第8条 すべての人は、家庭、職場、地域、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い又はセクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等人権侵害行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 すべての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担、又は異性に対する暴力等を助長したり連想させる表現、その他の不必要な性的な表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 基本的施策等
(男女が輝く都市づくり基本計画)
第10条 市は、男女が共に輝く都市の実現のため、男女が輝く都市づくり基本計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、基本計画を策定するにあたっては、市民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、基本計画を策定するにあたっては、各務原市男女が輝く都市づくり審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。
5 市は、社会の情勢の変化等に対応するため、必要に応じて基本計画の見直しを図るものとする。
(積極的改善措置)
第11条 市は、市のすべての委員会、審議会等における委員等を委嘱し、又は任命する場合は、積極的改善措置を講じて、男女の均衡を図るよう努めるものとする。
2 市は、あらゆる分野の意思決定過程において、男女の参画する機会に格差が生じないよう、積極的改善措置を講ずるものとする。
(情報の収集及び分析)
第12条 市は、男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策を策定し、効果的に実施するため、必要な情報の収集及び分析を行うものとする。
(広報活動等)
第13条 市は、男女が共に輝く都市づくりの推進を図るため、広報活動を行うとともに、市民及び事業者に対する普及、啓発及び必要な情報の提供に努めるものとする。
(学習等のための支援)
第14条 市は、男女が協働する社会についての関心と理解を深めるため、市民の学習を支援するとともに、家庭教育、学校教育、社会教育その他の教育において必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(地域での男女が共に輝く都市づくりの推進)
第15条 市は、地域における男女が共に輝く都市づくりの推進と意識の高揚を図ることを目的に、必要に応じて地域の団体、市民等と意見を交換するための会議を開催するものとする。
(推進体制の整備)
第16条 市は、男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策について、総合的かつ計画的に推進するため、庁内組織の充実、強化に努めるものとする。
(活動拠点)
第17条 市は、市民及び事業者の男女が共に輝く都市づくりの推進に関する取組みを支援する活動拠点の整備に努めるものとする。
(苦情等に対する対応)
第18条 市は、次の事項に関する市民などからの苦情、意見及び相談(以下「苦情等」という。)に対し、適切な対応をするものとする。
(1) 男女が共に輝く都市づくりを進めるための施策に関すること。
(2) 性別を理由とする権利侵害に関すること。
2 市長は、市民などからの苦情等に対し適切な対応をするために必要があるときは、各務原市男女が輝く都市づくり審議会の意見を聴くものとする。
(公表)
第19条 市長は、男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策の実施状況及び進捗状況を明らかにする年次報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 男女が輝く都市づくり審議会
(設置)
第20条 男女が共に輝く都市づくりの推進その他男女が共に輝くための施策を総合的かつ効果的に推進するため、各務原市男女が輝く都市づくり審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第21条 審議会は、次に掲げる事項について、市長の諮問に応じて調査又は審議する。
(1) 基本計画の策定及び見直しに関すること。
(2) 市が実施する男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策及び推進状況に関すること。
(3) 市民などからの苦情等の対応に関すること。
(4) その他男女が共に輝く都市づくりの推進に関する施策の重要事項に関すること。
2 審議会は、前項に定めるもののほか、男女が共に輝く都市づくりに関する事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第22条 審議会は、委員15名以内で組織する。
2 委員のうち、男女のいずれか一方の委員の数と他の委員の数の差は、1名以内とする。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 市内に事務所を有する各種団体の代表者
(3) 市民又は市内に在勤若しくは在学する者であって、市長が行う公募に応じたもの
(任期)
第23条 委員の任期は2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任することができる。
(審議会の運営等)
第24条 前3条に定めるもののほか、審議会について必要な事項は、別に定める。
第4章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
(各務原市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 各務原市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和38年条例第26号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略