○各務原市議会議員のハラスメント防止等に関する条例

令和6年9月27日

条例第47号

(目的)

第1条 この条例は、各務原市議会議員(以下「議員」という。)によるハラスメントの防止及びハラスメントに起因する問題が生じた場合の適切な対応に関し、必要な事項を定めることにより、議員又は職員が個人としての人格及び尊厳を尊重され、快適に活動し、又は勤務することができる環境の確保を図るとともに、市政の効率的運用に寄与し、もって市民から信頼される議会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントその他誹謗ひぼう、中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動であって相手方の人格若しくは尊厳又は勤務環境(議員活動を行う上での環境を含む。以下同じ。)を害するものをいう。

(2) パワー・ハラスメント 職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務(議員活動を含む。)上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、相手方に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は相手方の人格若しくは尊厳若しくは勤務環境を害するものをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる性的な言動をいう。

(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 次に掲げるものをいう。

 次に掲げる事由に関する言動により相手方の勤務環境が害されること。

(ア) 妊娠したこと。

(イ) 出産したこと。

(ウ) 妊娠又は出産に起因する症状により勤務すること(議員活動を行うことを含む。)ができないこと若しくはできなかったこと又は能率が低下したこと。

(エ) 不妊治療を受けること。

 妊娠、出産、育児又は介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により相手方の勤務環境が害されること。

(5) 職員 市長、副市長、教育長、各務原市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和38年条例第26号)第1条に規定する特別職の職員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員で本市に勤務するものをいう。

(議長の責務)

第3条 議長は、議員に対しハラスメントの防止に係る実効性を高めるため必要な研修等を実施するとともに、ハラスメントに係る事案(以下「事案」という。)の相談、調査、審議、審査等に関する体制を整備し、ハラスメントに起因して議員若しくは職員の人格若しくは尊厳若しくは勤務環境が害され、又は議員若しくは職員に不利益が生じた場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(議員の責務)

第4条 議員は、市民全体の代表者として市政に携わる権能及び責務を自覚し、常に高い倫理意識を持つとともに、ハラスメントが個人の人格又は尊厳を不当に傷つける人権侵害であることを理解し、ハラスメントを行ってはならない。

2 議員は、議員平等の原則により、性別、年齢、信条、所属政党又は会派、議員の経験年数等にかかわらず議員同士が対等な立場にあることを自覚し、互いの人格及び尊厳を尊重した活動をしなければならない。

3 議員は、職員に対するハラスメントが、労働意欲を低下させ、及び勤務環境を害するものであること並びに職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、職員の人格及び尊厳を尊重した活動をしなければならない。

4 議員は、次に掲げる議員活動がハラスメントとなり得ることを十分認識し、誠実かつ適切に活動をしなければならない。

(1) 口頭、電話、文書、ソーシャルネットワーキングサービス、メール、掲示板等の手段による誹謗、中傷、事実に反する風説の流布等により、相手方の人格若しくは尊厳又は勤務環境を害するような議員活動

(2) 職員に対する過大な要求、長時間の要望、交渉等に伴う拘束その他の行政運営を妨害するような議員活動

5 議員は、自身によるハラスメントがあると疑われたときは、事実確認等の調査に積極的に協力し、誠実に対応しなければならない。

6 議員は、他の議員がハラスメントを行っている、又はその疑いがある事態に遭遇したときは、当該議員に対し当該行為は厳に慎むべきである旨を指摘する等、率先してハラスメントの防止に取り組むものとする。

(相談等)

第5条 議員から事案の相談(以下「相談」という。)を受けるため、議会ハラスメント相談員(以下「相談員」という。)を置く。

2 相談員は、議会事務局の職員をもって充てる。

3 議員若しくは職員からのハラスメントを受けた議員又は当該ハラスメントを目撃し、若しくは把握した議員は、相談を希望する旨議会事務局長に申し出ることができる。

4 議会事務局長は、前項の規定による申出があったときは、2人以上の相談員を指名し、当該相談員が相談に当たるものとする。

5 相談員は、事実確認等の調査を行い、事案の当事者その他事案の関係者(以下「当事者等」という。)に対し適切な助言等を行い、その対応状況及び結果を議長に報告するものとする。ただし、議員が職員からハラスメントを受けたとされる事案の相談であったときは、直ちに議長に報告するものとする。

6 相談員は、前項本文の調査に当たり、当事者等に対し事情の聴取、書類、物件その他の証拠の提出等を求めることができる。

(相談後の対応)

第6条 議長は、前条第5項本文の規定による報告を受け、必要があると認めるときは、ハラスメントを行った議員に対し注意、指導その他の必要な措置(第11条の規定による公表その他の重大な措置を除く。)を講ずることができる。

2 議長は、前条第5項ただし書の規定による報告を受けたときは、当該事案に係る処理を市長に依頼するものとする。

(議会ハラスメント調査委員会)

第7条 次に掲げる事案等に関する審議をするため、各務原市議会ハラスメント調査委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(1) 第5条第5項本文の規定による報告を受け、議長が委員会での審議が必要であると認めた事案

(2) 相談(他の議員からハラスメントを受けたとされる事案に係るものに限る。)又は前条第1項の規定による措置を経た事案であって、当該事案の当事者から委員会での審議を希望する旨議長に申出があった事案(前号に該当する事案を除く。)

(3) 職員又は派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者であって、本市の各機関を役務の提供先とするものをいう。第13条において同じ。)が議員からハラスメントを受けたとして市長から処理の依頼を受けた事案(以下「市長からの依頼事案」という。)

(4) その他ハラスメントの防止等に関し議長が委員会での審議が必要であると認めたもの

2 委員会は、次に掲げる事務を行うものとする。

(1) 事実確認等の調査を行うこと。

(2) ハラスメントに該当するか否かの判断及び問題解決のための必要な措置について審議すること。

(3) 前項第4号に規定するものの審議を行うこと。

3 委員会は、委員6人以内をもって組織し、議員のうちから別に定めるところにより選任する。

4 委員会の委員は、あらゆる政党及び会派並びに当事者等の干渉又は影響を排し、中立かつ公平に調査又は審議に当たらなければならない。

5 委員会は、必要があると認めるときは、委員会の委員以外の者を会議に出席させて、説明又は意見を聴くことができる。

6 第5条第6項の規定は、委員会が行う事実確認等の調査について準用する。

7 委員会は、事案等の審議が終了したときは、その結果を議長に報告するものとする。この場合において、委員会は、事案が特に困難なものであって、第9条第1項の審査会による審査が必要であると認めるときは、その旨併せて報告するものとする。

(委員会報告後の対応)

第8条 議長は、前条第7項の規定による報告(以下「委員会報告」という。)を受けたときは、委員会報告を踏まえて、必要な措置を講ずるものとする。この場合において、議長は、事案の当事者その他の議長が必要と認める者(第3項において「通知対象者」という。)に対し、委員会報告の内容、当該措置の内容その他の必要な事項を通知しなければならない。

2 議長は、前項前段の措置を講ずる場合において、当該措置に第11条の規定による公表が含まれるときは、事案の当事者が次条第1項第4号の申出を行うために十分な期間を設けなければならない。

3 第1項後段の規定にかかわらず、議長は、次条第1項第1号から第3号までに該当する事案に係る委員会報告を受けたときは、通知対象者に対し委員会報告の内容、同項に規定する審査会の審査に付す旨その他必要な事項を通知するものとする。

(議会ハラスメント審査会)

第9条 次に掲げる事案等に関する審査をするため、各務原市議会ハラスメント審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(1) 委員会報告を受け、議長がその内容について審査会での審査が必要であると認めた事案(次号及び第3号に該当する事案を除く。)

(2) 市長からの依頼事案であって、委員会報告を受けた事案

(3) 第7条第7項後段の規定による報告を併せて受けた事案

(4) 前条第1項後段の規定による通知を受け、事案の当事者から審査会での審査を希望する旨議長に申出があった事案

(5) その他ハラスメントの防止等に関し議長が審査会での審査が必要であると認めたもの

2 審査会は、議長の諮問に応じ、次に掲げる事務を行い、その結果を答申するものとする。

(1) 委員会の審議結果の検証をすること。

(2) 必要に応じて事実確認等の調査を行うこと。

(3) ハラスメントに該当するか否かの判断及び問題解決のための必要な措置について審査すること。

(4) 前項第5号に規定するものの審査を行うこと。

3 審査会は、委員3人以内で組織する。

4 審査会の委員は、ハラスメントに関する識見を有する者のうちから議長が委嘱する。

5 審査会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 議長は、審査会の委員が議事に係る事案について直接の利害関係を有するときは、当該委員に代えて臨時に委員を置くことができる。

7 前項に規定する臨時の委員は、ハラスメントに関する識見を有する者のうちから議長が委嘱する。

8 第5条第6項の規定は、審査会が行う事実確認等の調査について準用する。

(答申後の対応)

第10条 議長は、前条第2項の規定による答申(以下この条及び次条において「答申」という。)を受けたときは、答申を踏まえて、必要な措置を講ずるものとし、事案の当事者(市長からの依頼事案にあっては、市長及びハラスメントを行ったとされる議員)その他の議長が必要と認める者に対し当該措置その他の必要な事項を通知しなければならない。

(公表)

第11条 議長は、委員会報告又は答申を踏まえて、問題解決のため特に必要と認めるときは、当該ハラスメントを行った議員の氏名、事案の内容及び問題解決のため講ずる措置に関する事項の全部又は一部を公表することができる。

(プライバシーの保護等)

第12条 相談員、委員会及び審査会の委員その他事案の処理に携わる者は、事案の当事者等のプライバシーの保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

2 議長は、前条の規定による公表をしようとするときは、事案の当事者等のプライバシーの保護に十分配慮しなければならない。

3 事案の当事者は、当該事案をみだりに公表し、相手方の利益を不当に侵害してはならない。

(事業者等からの要請に係る措置)

第13条 議長は、議員からハラスメントを受けたとされる事案について、派遣労働者を雇用する事業者、市と業務委託契約その他の契約を締結している事業者その他の市が行う事業に関係する事業者等から必要な協力を求められた場合は、この条例の規定に準じた措置を行うよう努めるものとする。

(職務の代理)

第14条 議長が事案の当事者となったときは副議長が、議長及び副議長がともに当事者となったときは議会運営委員長が、この条例に規定する議長の職務を行うものとする。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和6年10月1日から施行する。

(各務原市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 各務原市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

各務原市議会議員のハラスメント防止等に関する条例

令和6年9月27日 条例第47号

(令和6年10月1日施行)